きつねの嫁入り

豊作に感謝し、商売繁盛を願う花岡福徳稲荷社の「稲穂祭」を締めくくる行事として毎年11月3日に下松市花岡地区一帯で、白きつねに扮した行列が旧山陽道の古い街並みを練り歩く 奇祭  きつねの嫁入り が行われます。今年で70回を迎え一段ときらびやかな異例の行列に多くの人が沿道に詰めかけています

周防花岡駅 下松市大字末武上にあるJR西日本岩徳線の駅で、昭和7年に開業し今も開業時に建設された駅舎を使用している。レトロな無人駅。きつねの嫁入りの行列は、花岡福徳稲荷社からこの周防花岡駅までの約1キロを往復します

法静寺 浄土真宗のお寺で白きつねの老夫婦に関する興味深い言い伝えが残っているそうです。不思議な言い伝えを現代によみがえらせた「きつねの嫁入り」は下松市の観光行事になっています

花岡福徳稲荷社 法静寺の境内にあります。昔代官所で大事な文書の忘れものがあったとき、法静寺に願をかけると不思議と見つかり、代官所はお礼に寺の境内に社を建てたそうです。これが「花岡福徳稲荷神社」だそうです

午後2時花火を合図に地元住民、9団体の神輿が先導し行列がスタートします


平安時代を思わせるようなお公家さんの衣装を身に着けた一行は華やかで幻想的な感じがします

御神幸の最後を飾るのは「きつねの嫁入り」行列。観光客や住民が見守る中、ひときわ煌びやかな和装姿の新郎新婦役の2人が車夫が引く人力車に乗って現れると沿道からは大きな拍手が・・・新郎新婦に選ばれると良縁に恵まれるといわれていますが、きつね夫婦を誰が務めたかは秘密にされているのが習わしだそうで、ミステリアスな感じがします


新郎新婦の後には髪結いや腰元、新郎新婦の父母など親族が続き、最後は鯛や嫁入り道具の長持ちなどが続きます

花岡駅前では、御神幸行列に参加した人たちが輪になって新郎新婦を囲み、全員で「稲荷音頭」を踊ります。踊り終わると新郎新婦が退場し、もち餅まきが行われます。再び法静寺に戻った新郎新婦は、御神幸の締めくくりとして鳥居前の広場にて三三九度の固めの盃が交わされ稲穂祭の幕が閉じます

花岡八幡宮表参道 きつねの行列が通る途中にある八幡さんで、宇佐八幡宮より御神体を勧請して創建さたそうで、古くから霊験あらたかで、諸公や諸人からの崇敬が厚いといわれています。旧山陽道の門前宿場町として栄えてきた花岡には、藤原鎌足が創建したと伝えられる多宝塔や、歴史を物語る貴重な文化財が数多くあり、格子窓や民家など旧街道の面影が辺りには残っています

閼伽井坊(あかいぼう) 花岡八幡宮の社坊9カ寺のうち、現存する唯一のもので真言宗御室派の寺院で、山号を華岳山といいます

山門の山号額には華岳山と書かれています

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百余段の石段の先にある 楼門

室町時代末期の作といわれる 多宝堂(閼伽井坊塔婆) は方三間、高さ13.5m、柿葺(こけらぶき)で周囲に廻縁をまわしたもので、多宝塔の中でも指折りの形態の整った塔で重要文化財に指定されています

ひっそりとした境内の奥にある 拝殿 は木々に囲まれ豪荘華麗でとても美しい!楼門、多宝堂、拝殿ともに見どころが多くあり、十六世紀末ごろには百三十六石余の社領を有し、社坊九ヶ寺を抱える旧周防国でも有数の規模を誇る大社でした    (2019年11月3日)