「筆の町」熊野を散策 Ⅰ

広島県安芸郡熊野町は江戸時代から伝わる筆の製造を産業の中心として「筆の町」として栄えてきたところです。町内には筆の関連事業所が100以上あり、そこから生み出される熊野筆は全国一のシェアを誇っています。また、町の貴重な文化財や神社仏閣、筆づくりのルーツを巡りながらぐるっと散策てみました

筆の里工房

筆をテーマにしたユニークなミュージアム筆の里工房の館内には、世界一の大筆を常設展示、多種多様な筆を取り揃えた熊野筆セレクトショップ、レストラン、情報センターなどがあります


町内の製造業者が出店している熊野筆のショップには、1,500種類もの書筆、画筆、化粧筆が展示してあり筆を手に取り、試筆をしながら好みの筆を購入できます


近年では、特に化粧筆の品質の高さが内外で高く評価されているそうです。ベースに使う大き目の筆には柔らかく優しく繊細なリスの毛、アイブロウにには、狸やイタチの毛が使われているオリジナル商品も多くあります



坂面大池は筆の里公房の横にあり、この池は1683年に潅漑用として農民の方の手作業で作られたという記録が残っているそうです。坂面大池を囲むように書の石碑が建っています。毎年9月23日に行われる「筆まつり」の日に、著名なな書家の方が書かれたものを石碑として刻んで残している

二つのハートが重なり合った可愛いモニュメンは「ひとつの思い

榊山神社

筆の里公房をあとにし、筆造りのルーツや熊野町の文化財を巡ります。榊山神社境内には毛筆元祖頌徳之碑があります。筆の技術を伝えたと言われる井上浩平、音丸常太の両氏を称える碑

榊山神社境内内には筆の精と祖先の業績に対する感謝を込めて建てられた筆塚があります



榊山神社は933年に宇佐八幡宮から勧請されたとされる約1100年の歴史を誇る古い神社です。神殿の造りや大きさはわが国でも最大級の規模を誇るそうで広大な境内敷地内の西側には熊野本宮神社と4社の摂末社があります。金箔の張られた屋根の本殿は町の重要文化財に指定されています

熊野村の呼称の由来もこの神社から来ていると伝えられている熊野本宮神社。由緒が古いため、榊山神社と共に安芸郡でも有名な神社となっています。境内は毎年秋分の日に行なわれる「筆まつり」の会場の一つです  (2023年2月4日)