石見銀山遺跡

島根県大田市にある石見銀山は2007年に世界遺産に登録されました。16世紀から銀生産が行われていた石見銀山は最盛期には世界の銀産出量の約3分の1を占めていたといわれる日本銀のうち、その大半が石見産であったと伝えられています。周辺には昔の町並みが残り江戸時代にタイムスリップしたような気分になれる観光地です

石見銀山公園に入ります。公園内には観光案内所&おみやげ処、駐車場(駐車台数が少いので、石見銀山世界遺産センターに駐車し、バスにて公園前で下車)などがあります。石見銀山遺跡は、銀山コース、町並み地区、代官所コースと3つのゾーンからなっています

銀山ゾーン

銀山ゾーンは緩やかな坂道が続きメインの本道と、川を挟んだ遊歩道の2つの道にわかれています。自転車を貸出しするレンタサイクルを利用すると楽に短時間で一周ができます。銀山橋を渡り徒歩で龍源寺間歩に向かいます(徒歩片道45分ほど)

  • 渡辺家住宅 江戸後期の1811年に建てられた銀山付地役人の住宅。唯一の武家屋敷

  • 大森小学校 明治5年開校。児童数は十数名ですが、いまでも古い木造校舎を使い続けています

  • 西本寺 大田市内に残る山門建築の中でも最古級にあたる貴重なものとして大田市指定文化財に指定されている

  • 下河原吹屋跡 吹屋は精錬所のことで17世紀初頭の銀精錬遺跡

銀の店工房 銀で作られたアクセサリーや小物が、お手頃価格の可愛い銀製品が店内に所狭しと並んでいます

豊栄神社 毛利元就の木像がご神体として祀られていたそうで、石見銀山の歴史の一端を担う貴重なものとして昭和53年に大田市指定史跡に指呈されました

清水谷精練所跡  山すそに傾斜を利用して造られた明治時代の先端技術による精錬所の遺跡で、明治28年から巨額を投じて建造されましたが、わずか1年半で操業中止となったようです。現在苔むしたは山の斜面に石垣が残っているだけですが壮大な景観です

  • 清水寺(せいすいじ) 石見銀山開発に関わった領主、代官らに信仰された寺

  • 美しいもみじの新緑に囲まれた休憩所でひと休みするファミリー。子供たちも見かけましたが楽しめてるのかな・・

  • 新切間歩 龍源寺間歩までの約2,3キロの間には小さい 洞窟、間歩が沢山あります

  • 吉岡出雲の墓 石見銀山や伊豆の佐渡金銀山の開発にあたり功績を上げた吉岡隼人の墓

  • 高橋家住宅 龍源寺間歩の近くにあり銀山町年寄山組組頭にまで進んだ家柄

  • 龍源寺間歩に到着!歴史的文化財や建造物が多々あり銀山の歴史を今に伝えています

龍源寺間歩入り口 間歩(まぶ)とは銀鉱石を採掘するための坑道。石見銀山遺跡の中で唯一公開されている坑道で、坑道は全長約600mありそのうち一般に公開されているのは273m。このほかにも600を越える間歩があるそうです。坑道の中は少しひんやりします


小さな坑道は ひおい坑 垂直に掘られた坑道を竪坑で、坑道に溜まった水を下にある坑道に排水したと言われています。江戸時代に開発され当時掘られた壁面のノミの跡などがそのまま残っっています。人が一人通れるほどの狭い坑道を作りあげた人の力に感動しました

坑道の出口近くの壁面には石見銀山絵巻が電照板で紹介されています。新坑道を通リ出口に向かいます。出口を下ったところには、石見銀山周辺に自生する香木「クロモジ」と輸入ハーブをブレンドしたここでしか買うことのできない香り袋を販売しているかおり本舗「中村屋」があります。急こう配の石段がある佐崑売山神社は、16世紀中頃に創建された鉱山の守り神を祀っている

武家・町屋ゾーン

再び来た道を戻り武家・町屋ゾーンを散策します。風情が漂うレトロな町並みが続きます。霧雨の降る寒い一日でしたが雨に濡れてしっとりとした景観も素敵です。お洒落なカフェや雑貨屋さんなどが点在し、ゆっくり散策しながらの町歩きが似合うゾーンです

群言堂石見銀山本店 1989年過疎の進むこの地大森地区にオープンした群言堂は江戸時代の商家を18年かけて再生し洋服、雑貨とともにカフェも併設.。お豆のカレー&里山おむすび。食後にはみそを練りこんだみそアイスをいただきました。緑あふれる中庭を見ながらのランチはとても美味でした。古風な店構えですがお洒落な今風なカフェでした

宗岡家住宅 戦国大名毛利氏のもとて石見銀山の諸運上を徴収する役人を務めた

有馬光栄堂 銀山で唯一のお菓子屋さん。200年以上続く老舗で、銀山の抗夫さんも食べていたと言われる、 「げたのは」は軽い歯ごたえのあっさりとした黒糖の懐かしい味のするお菓子です

町並み交流センター 旧大森区裁判所の建物を利用した石見銀山の歴史資料館。レトロな建物は目を引きます

  • 旧河島家 大森代官所に務めた役人住んだといわれる旧河島。大森地区では一番大きな屋敷

  • 2003年公開された「アイ・ラブ・ピース」のロケが行われた住宅。大森小学校やうめの屋でもロケが行われたそうです

羅漢寺五百羅漢 銀山で亡くなった人々の霊と先祖の霊を供養するために25年かかって代官や代官所役人、領内の人々の援助や協力により石橋などを築き、石窟内に石造の五百羅漢を納め羅漢寺を建立したそうです


岩盤斜面に3つの石窟があり、中央窟に石造釈迦三尊仏を、左右両窟には五百羅漢像がそれぞれ250体ずつ、計501体の坐像が安置されています

代官所ゾーン

江戸時代、天領となった最盛期には周辺に20万もの人々が住んだと伝えられています。代官所との関わりが深かった遺跡や文化財が集まっています

観世音寺 大森代官所の祈願寺で真言宗の寺。岩盤を刻んだ石段をあがると再建された朱色の山門と本堂があります

高台にあるので大森地区の赤い石州瓦の町並みを一望できます

  • 石見銀山大森郵便局 近くには山陰合同銀行大森代理店もあります

  • 西性寺 銀山川沿いに入った所ある浄土真宗の寺で、この地区では一番大きい寺院

西性寺 1801年に建てられた銀山経営や酒造などで富を築いた商人の屋敷で19 世紀には大森の中で最も有力な商家の一つとして栄えました。 敷地は1500m2で主屋と5つの蔵からなっています

奥はカフェになっていて懐かしいコッペパン(あずきとマーガリン入り)とコーヒーをいただきました

  • うめの店 おいしい和食が食べられる食事処。このお店も「アイ・ラブ・ピース」の映画のロケ場所です

  • 石見銀山資料館 銀山を治めた江戸幕府の代官所跡。銀山の当時の様子をうかがえる資料などを展示

石見銀山生活文化研究所 築230年の古民家を再生し、人口400人の町・大森町を残していきたい暮らしの町を目指して研究しているそうです

石見銀山遺跡周辺には豊かな山林が今も残っており、鉱山遺跡と自然景観が一体となって文化的景観を作り出しています。龍源寺間歩のスケールの大きさに驚くとともに、大森地区の昔ながらの町並みに江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になり懐かしさを覚えました。鉱山町として栄えた古民家の町並みや史跡、神社など多くの見どころが点在し、昔ながらのたたずまいにも新しさを感じることができるところです   2019年(令和元年)5月1日